売れる営業の目のつけどころ│営業研修コラム

売れる営業の目のつけどころ

「エスキモーに氷を売る」

NBAプロバスケットボール協会で、チケットがさっぱり売れない「弱小チーム」の社長に就任したジョン スポールストラさんが書いた、「エスキモーに氷を売る」というタイトルの本があります。チームに人気選手も全くいない状況で、手を変え品を変え、いかにチケットを売れるようにしたかが記されています。マーケティングの良き参考書として、日本でも10年前から刷版され続けている名著です。
ちなみにエスキモーと氷の話は、一言も出てきません。要は誰も買おうと思わない商品で商売を成り立たせて、利益を得る行為の「比喩」として、つけられたタイトルだということです。それを知った上なのかどうか定かではありませんが、Q&Aサイトで、学校から“エスキモーに氷を売るには”というお題でプレゼンテーションしろと言われて困っています、という投稿を見かけました。先生自身がどんな模範解答を用意して、その授業に挑んだのか、興味津々ですが・・・・。

横道に逸れましたので、本の内容に話を戻します。さて、弱小チームのチケットは、どうすれば売れるかです。多くの人はまず「チームを強化すべきだ」と考えるのではないでしょうか。ところがジョンさんは目のつけどころが違いました。対戦チームのスーパースターを前面に出したプロモーションを展開したのです。普通ならダフ屋に大金を払わないと手に入らない、あの選手が観れるチケットを、普通の値段でお買い求めいただけますよ、と。一方で自分のチームのグッズ販売は、一切やめてしまったそうです。

NBAプロバスケットボールチームの特性 多くのチーム 自分のチーム
勝つための競争力がある ×
勝つための競争力に期待が持てる ×
ホームタウンで支持されている ×
人気者のプレイヤーがいる ×

プロスポーツとは、興行のチケットで売上を稼ぐものです。つまり観客の目的が何であれ、会場に足を運んでくれれば、事業としては成り立つわけです。「チームの強化」云々よりもまず、顧客のニーズはそもそも何なのかと考えた、ジョンさんの着眼点のほうが、ビジネスとしてはむしろ本道だと言えるのではないでしょうか。実際にこの弱小チームの観客数は、フォーシーズンで最下位の27位から12位にジャンプアップしました。

売れるものを作ってから売るのは誰でもできる

さて、先ほどのジョンさんは、売るものに対して、顧客はどこに魅力を感じるか、という着眼点の妙を感じさせるお話でした。次は売るものに対して、どんな顧客が魅力を感じるのか、という目のつけどころについてご紹介します。今でこそ業界ナンバー1の某ビール会社の営業マンの話です。
私が子供の頃、その会社のビールは3番手あたりで低迷していました。居酒屋チェーンにセールスでまわっても、「うちの客はお宅のビールなんか飲まない」と断られがちだったそうです。そんな中で、ある営業マンが「では、どんなお客様なら、うちのビールを飲むのでしょうか」と投げかけたところ、こんな答えが返ってきました。「あれは薄味だから、女の人しか飲まないんじゃないの」。

居酒屋の人にしてみれば、単なる断り文句のつもりだったのでしょう。しかしその営業マンは、「だったら女性客をうちのビールで引き込んでみてはどうでしょう」と、相手のセリフを逆手に取って、売り込みにかかりました。薄味のビールを取り扱うことで、客層を拡大し、競合の居酒屋を差別化しようという提案です。話に乗ったその居酒屋チェーンでは、今まで男性客しかいなかったのに、女性客が数多く訪れるようになり、売上を順調に伸ばしたのだそうです。
客層が変われば、商品に対して感じる魅力も変わります。既存の客層に人気がないからといって、その商品は売れないと決めつけるのは早計であると、思い知らされるエピソードです。また、この営業マンとジョンさんに共通しているのは、売れるものができるまで待つ、という思考停止に陥らなかったことです。そのポジティブ思考があってこそ、目のつけどころも鋭くなるのでしょう。

「お客様との人間関係」という普遍的な目のつけどころ

この2つのエピソードは鋭い目のつけどころで、斬新な提案を生み出したというパターンでした。でも世の中のトップセールスには、もっと地道にコツコツやっておられる方がいますし、むしろそのほうが多いような気がします。だから最後は、コツコツ型で売れる営業の目のつけどころについて、ご紹介します。
とある大手系列のカーディーラーで、年間販売成績の最優秀に11回選ばれ、全国販売店くくりの殿堂入りを果たした、スーパーセールスマンの話です。
この業界は一人月3台が平均なのに対し、月10台近くを20年以上にわたり売り続けたのですから、只者ではありません。

ただし、この方は前段のビール会社の人みたいに、売り込む営業は全くしませんでした。代わりにお客様が問わず語りにする家族や仕事、あるいは趣味や関心事などに、ひたすら耳を傾けていたのだそうです。法人客であれば、車両担当や総務といった営業相手だけでなく、掃除のおばさんや係員のおじさんまで、100人いるなら100人全員に声をかけてもらえるように、受け身のコミュニケーションを心がけていました。
すると、次第に「A社と取引したいんだけど、伝手があるなら紹介してよ」といった相談を受けるようになります。まあ大概は仕事と何の関係もない、サッカーのチケットが取れないかとか、他愛もない頼まれごとでしかありませんでしたが。にも関わらず、己の知恵や人脈を総動員して、ちゃんと対応し続けていると、やがて取引先やご家族、従業員を、紹介してくれるようになります。その積み重ねが、月10台近いペースが途絶えない、高水準の業績だったのです。

この方の目のつけどころは、「お客様との人間関係」あるのみと言えます。でもそれによって平均の3倍に及ぶ受注を、20年にわたり維持できたわけですから、実は最も普遍的なノウハウなのかも知れません。成果がでるのに時間はかかりますが、誰でも今この瞬間から、実践できそうなお話で、締めたいと思います。


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